研究シーズ名
金属材料の水素脆化
分  野 材料工学
キーワード 水素、水素脆性、遅れ破壊、金属材料
研究者名 高井 健一
Takai Kenichi
職  名 教授
所  属 理工学部
機能創造理工学科
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概    要
(1)水素脆化特性に優れた高強度鋼の創製
 自動車などの輸送機器用材料を高強度鋼に代替できると、CO2排出低減、省エネルギーにつながります。しかし、高強度鋼は長期間の使用により環境から水素を吸収し、突然破壊することがある。最新の分析機器を用いて原子レベルで水素の位置を同定し、水素脆化特性に優れた高強度鋼の創製を試みています。

(2)安全な水素エネルギー社会に向けたインフラ材料の評価と信頼性の確立
 2015年から燃料電池自動車の本格市場導入開始に関する共同声明が発表されました。クリーンエネルギーとして期待される水素ですが、水素は材料をもろくします。燃料電池自動車用および水素ステーション用の高圧水素環境下で使用される材料の水素環境脆化特性を評価し、安全な水素エネルギー社会構築をインフラ材料の側面から支援します。

(3)燃料電池セパレーター用純チタンの水素脆化メカニズム解明と脆化抑制手法
 自動車用の燃料電池には1台あたり金属セパレーターを約800枚必要とするため、軽量、高強度、優れた耐水素脆化特性を必要とします。チタンは優れた要求性能を満たしますが、水素を自発的に吸収し劣化してしまいます。水素脆化機構の解明、および脆化を抑制したチタンの開発を目指しています。

(4)各種金属材料中の水素の存在状態解析と水素脆化メカニズム解明
 上記、(1)~(3)を実現するために、水素脆化に関する基盤技術を確立することが必須です。体心立方(BCC:Body-Centered Cubic)、面心立方(FCC:face-centered cubic)、六方最密(HCP:hexagonal close-packed)結晶構造の金属材料に共通した水素存在状態および水素脆化に関する普遍性、および特殊性を抽出し、国際的にも統一されていない水素脆化メカニズム解明を目指しています。
応用例
・耐水素脆化特性に優れた高強度鋼の開発および水素脆化の抑制手法
・水素エネルギー社会構築に向けた、インフラ材料の水素脆化克服
今後の発展性
・自動車をはじめ、輸送機器の軽量化に向けた耐水素脆化特性に優れた高強度鋼の開発
・水素エネルギー社会構築に向けた、インフラ材料の水素脆化克服
研究設備
昇温脱離水素分析装置、引張試験機、低ひずみ速度引張試験機、陰極電解水素チャージ装置、電界放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM:Field Emission-Scanning Electron Microscope)、電子線後方散乱回折法(EBSD:Electron Backscatter Diffraction Pattern)、光学顕微鏡、低温昇温脱離水素分析装置(低温TDS:Thermal desorption spectrometry)
共同研究・外部機関との連携への期待
各種金属材料の水素脆化に関する研究開発、金属材料中の水素存在状態解析
関連特許・論文等
・T. Nagase, T. Ito, Y. Nishimura, H. Suzuki and K. Takai:“Hydrogen Embrittlement and Local Characterization at Crack Initiation Associated with Phase Transformation of High-strength Steel Containing Retained Austenite”, ISIJ International,vol.58, pp.349-358 (2018).
・Y. Matsumoto and K.Takai: “Method of evaluating hydrogen embrittlement susceptibility of tempered martensitic steel showing intergranular fracture”, Metallurgical and Materials Transactions A, Vol. 49A (2018) 490-497.
・今野良佑,真鍋敏之,平上大輔,高井健一:"水素存在下で弾性・塑性域破壊した冷間伸線パーライト鋼の格子欠陥形成挙動", 鉄と鋼,104 (2018) 36-45.
・M. Hattori, H. Suzuki, Y. Seko and K.Takai:“The Role of Hydrogen-Enhanced Strain-Induced Lattice Defects on Hydrogen Embrittlement Susceptibility of X80 Pipeline Steel”, JOM, 69,,pp.1375-1380 (2017).
・Y. Matsumoto and K.Takai: “Method of evaluating delayed fracture susceptibility of tempered martensitic steel showing quasi-cleavage fracture”, Metallurgical and Materials Transactions A, Vol. 48A (2017) 666-677.・K.Takai, H.Shoda, H.Suzuki and M.Nagumo:“Lattice defects dominating hydrogen degradation of metals”, Acta Materialia, vol.56, pp.5158-5167 (2008).
・H.Shoda, H.Suzuki K.Takai and Y.Hagihara:“Hydrogen Desorption Behavior of Pure Iron and Inconel 625 during Elastic and Plastic Deformation”, ISIJ Int.,vol.50, pp.115-123 (2010).
・高井健一:「水素存在状態と水素脆性」材料と環境、vol.60, pp.230-235(2011).
・高井健一:「金属材料中の水素存在状態」日本機械学会論文集(A編)、vol.70, pp.1027-1035(2004).

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