研究シーズ名
学校不適応の児童生徒を支援するための学校段階間ならびに学校と社会との連携に関する研究
分  野
キーワード 不登校、中途退学、小1プロブレム、中1ギャップ
研究者名 酒井 朗
Sakai Akira
職  名 教授
所  属 総合人間科学部
教育学科
連絡先
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概    要
児童生徒の不登校や高校生の中途退学問題、就学時の小1プロブレムや中学入学時の中1ギャップ問題など、学校不適応をめぐる様々な問題に対して、学校段階間の連携や、学校と学外の様々なリソースとの連携をどのように図り、彼らを支援していくのかについて実態調査を進めるとともに、教育委員会や学校等と協力して具体的な支援の手立てについて検討しています。それとともに、各種の不適応問題の理解の在り方を見直すことにより、子どもたちの育成にとって本当に必要な支援とは何かについて省察しています。

具体的には以下の諸課題について研究を進めています。

1.不登校児童生徒のためのネットワーク構築
 不登校の児童生徒を支援するための機関は、適応指導教室、教育相談センターなど学外に様々に用意されています。また、スクールカウンセラーも巡回しています。一人一人の子どもの支援を活性化するために、こうした種々の資源と学校がいかにして相互に連携を図っていくかについて調査しています。

2.高校生の中途退学問題への支援について
 中途退学は近年減少傾向にありますが、各学校を退学して転校する生徒はかなりの数に達します。この研究ではこうした「原籍校を辞めていく生徒」も含めて、その支援の在り方を検討しています。具体的には東京都の実態に関する調査や沖縄県の中退防止の取り組みについて調査しています。また、近年、原籍校を辞めた生徒の多くが私立の通信制高校に転入学や編入学をしています。こうした新たなサポートシステムの意義と課題についても検討しています。

3.中1ギャップ問題と小中連携に関する調査
 中学入学時に学校不適応が多発する事態は「中1ギャップ」と呼ばれています。各地の教育委員会ではこの問題に対応するために小学校と中学校の連携を図り、滑らかな接続を図ることを目指して様々な取り組みがなされています。また、国ではこの問題を1つの契機として、小中一貫教育校の制度化を進め、義務教育学校という新たな学校種を設置しました。この問題をめぐっては、小中一貫教育校の教育効果についての実証的な検証を行うとともに、様々な学校現場で連携の実践に対して助言者などを務めています。

4.小1プロブレム問題と保幼小連携に関する調査
 就学時にも様々な指導上の問題が生じており、「小1プロブレム」と呼ばれています。小中連携においても、小学校と中学校の学校文化の差の大きいことが問題となっていますが、就学前教育を担う幼児教育機関(幼稚園、保育所、認定こども園)と小学校の間にはそれ以上に大きな隔たりがあります。各地の保幼小連携の実態を調べるとともに、具体的な連携の取り組みとしてどのような目的設定をしていけばいいのかについて検討しています。
応用例
関連する各種のウェブサイトでも発言・コメントしていますのでご覧下さい。

小中接続をめぐる教育制度の行方とそれによる学びへの影響はどうなるのか
http://berd.benesse.jp/berd/focus/3-shouchuu/activity5/

学校種間の連携・接続の在り方を語る。~小1プロブレム、中1ギャップを乗り越えるには?
https://www.manabinoba.com/index.cfm/6,12399,12,html 
関連特許・論文等
著書
酒井朗, 2014,『教育臨床社会学の可能性』勁草書房
酒井朗, 横井紘子, 2011,『保幼小連携の原理と実践:移行期の子どもへの支援』(共著)ミネルヴァ書房
酒井朗編著, 2007,『進学支援の教育臨床社会学―商業高校におけるアクションリサーチ―』勁草書房

論文
酒井朗,2010,「移行期の危機と校種間連携の課題に関する教育臨床社会学 : 「なめらかな接続」再考」『教育学研究』 77(2), 132-143.
酒井朗, 川畑俊一, 2011,「不登校問題の批判的検討―脱落型不登校の顕在化と支援体制の変化に基づいて―」『大妻女子大学家政系研究紀要』47,47-58.
酒井朗, 林明子,2012,「後期近代における高校中退問題の実相と課題 : 「学校に行かない子ども」問題としての分析」『大妻女子大学家政系研究紀要』48,67-78.
酒井朗,2014,「教育方法からみた幼児教育と小学校教育の連携の課題-発達段階論の批判的検討に基づく考察」『教育学研究』81(4),384-395, 2014.
酒井朗, 2015,「教育における排除と包摂」『教育社会学研究』 96, 5-24, 2015.
酒井朗, 伊藤秀樹, 谷川夏実, 2016,「施設一体型小中一貫教育校の可能性とその条件に関する研究―教育機会の均等に目配りしたA学園の実践例―」,『上智大学教育学論集』,上智大学総合人間科学部教育学科,50,15-37.

その他
酒井朗, 2003,「幼小連携・幼保小連携を考える-なめらかな接続を意識した取り組み-」『幼児の教育』7月号,24-31
酒井朗, 2003,「幼小連携の課題を考える」『初等教育資料』10月号,68-71
酒井朗2007,『不登校支援のための地域連携ネットワーク構築に関する研究』平成18年度児童関連サービス調査研究事業調査研究報告書,財団法人こども未来財団
酒井朗, 2011,「保幼小連携における相互理解とカリキュラム開発」『幼稚園じほう』39(9),12-18.
酒井朗, 2014,「小一プロブレム,中一ギャップと学校段階間の接続・連携」『教育展望』60(5),46-50
酒井朗, 2014,「小中移行期の学習面の課題と連携の手だて」『中学校』No.728,4-7.
酒井朗, 2014,「創造的な思考の基礎を培う指導の在り方について」『初等教育資料』 No.917, 98-101.

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