研究シーズ名
硫黄同位体効果による成層圏硫黄循環の解明、及び気候工学の効果と副作用の解析
分  野 速度論
キーワード モデリング、気相ダイナミクス
研究者名 DANIELACHE SEBASTIAN
Danielache Sebastian
職  名 准教授
所  属 理工学部
物質生命理工学科
連絡先
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概    要
 1991年、フィリピンのピナツボ火山噴火によって放出された硫黄化合物10TgSが成層圏に到達しました。これらの硫黄化合物は様々な酸化反応を受け最終的に硫酸アンモニウムそして硫酸アエロゾルを生成しました(Sulfur Stratospheric Aerosols、以下SSA)。噴火から半年が経過した後も、6TgSのアエロゾルが残存したため、約4.5W/m2の負の放射強制力があったと言われています。正の放射強制力は温暖化、負の放射強制力は寒冷化を引き起こします。火山噴火によって成層圏へ硫黄化合物が到達しアエロゾルが生成されたことにより、地表面平均温度が0.5℃減少したことが知られています。成層圏アエロゾルの滞留時間は1-2年であり、ピナツボの冷却効果は速やかに薄れていきました。このことから、硫酸アエロゾルは0.75W/m2/TgSの放射強制力を持っていたと考えられています。放射強制力だけでなく、火山噴火によって生成した硫酸アエロゾルの増加が成層圏のNOxの光化学を変化させることにより、オゾン層破壊への寄与が指摘されています。
 成層圏硫酸アエロゾルは地球放射収支に負の影響を与えるため寒冷化要因一つとして重要です。右図の様に、地球温暖化対策として成層圏へ人為的硫黄化合物を注入する「ジオエンジニアリング(気候工学)計画」がノーベル化学賞受賞者であるP. Crutzen博士らにより提案されています。これは、OCS、SO2、Sの人為的投入により、地球全体的に冷却効果を持たせます。しかし、気候工学は効果と副作用で大きな不確実性があるため、様々な因子を正確に考慮したシナリオを用いた大規模モデル相互比較の必要があります。
 我々の研究室では、硫黄安定同位体を用いることにより、成層圏硫黄循環を高精度・高確度に解析する方法を追求しています。

応用例
地球工学における副作用の予測、大規模火山噴火における大気冷却効果やオゾン破壊
今後の発展性
自作大気モデルと反応速度論計算の合流
研究設備
大型計算機
共同研究・外部機関との連携への期待
地球温暖化対策を今後のビジネスとして考えている企業
関連特許・論文等
SO2 photoexcitation mechanism unlocks historical record of climate-impacting volcanism. S. Hattori, J. A. Schmidt, M. S. Johnson, S. O. Danielache, et al., PROCEEDINGS OF THE NATIONAL ACADEMY OF SCIENCES OF THE UNITED STATES OF AMERICA, Under Revision, 2012.

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