研究シーズ名
孵化酵素の分子進化学、発生生物学的研究
分  野 生物
キーワード 細胞分化、機能進化、遺伝子発現
研究者名 安増 茂樹
Yasumasu Shigeki
職  名 教授
所  属 理工学部
物質生命理工学科
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概    要
 多細胞動物の卵は、卵膜により囲まれています。胚は卵膜に保護されて発生しますが、ある発生時期に達すると卵膜から脱出します。この過程を孵化といいます。孵化時に、卵膜を分解・可溶化するタンパク分解酵素を孵化酵素といいます。
1.孵化腺細胞の分化:孵化酵素の合成は、孵化腺細胞とよばれる発生初期に特殊に分化する細胞により合成されます。わたくしは、孵化酵素の遺伝子発現調節機構を中心に、細胞分化の研究を行っています。
2.孵化酵素による卵膜分解機構の進化:魚類孵化酵素遺伝子の分子系統樹を俯瞰すると、初期の進化過程では、単一種の遺伝子ですが、進化過程で遺伝子重複・多様化により2種の酵素遺伝子が生じたことが示されました。タンパク質レベルで調べると、卵膜分解機構は、単一酵素の分解系から、効率の良い2種の酵素系に進化していることが分かりました。いろいろな魚種の孵化酵素と卵膜分解様式を調べ、進化過程で孵化酵素の卵膜分解機構がどのように進化してきたかを、タンパク質機能の面から推察しています。この研究は、遺伝子重複後の新規機能遺伝子の創出機構の先例となります。
応用例
・大腸菌発現系を用いた活性のあるリコンビナントタンパク質の作成
・卵膜という不溶性構造物の高次の構造の解明
今後の発展性
1.孵化腺細胞の分化に関与する因子(遺伝子)の同定。
2.孵化酵素タンパク質が新規機能を獲得する機構を酵素タンパク質のアミノ酸残基の変異の段階まで解明します。
研究設備
DNA(Deoxyribo Nucleic Acid)およびアミノ酸配列決定機など
共同研究・外部機関との連携への期待
現在、国内外の孵化酵素、または卵膜の研究者と複数の共同研究を行っています。
関連特許・論文等
Kawaguchi M, Inoue K, Iuchi I, Nishida M, Yasumasu S. (2013) Molecular co-evolution of a protease and its substrate elucidated by analysis of the activity of predicted ancestral hatching enzyme. BMC Evol. Biol. 13:231
Sano K, Kawaguchi M, Watanabe S, Nagakura Y, Hiraki T, Yasumasu S. (2013) Inferring the evolution of teleostean zp genes based on their sites of expression. J. Exp. Zool B Mol. Dev. Evol.320: 332-343
Sano K, Kawaguchi M, Yoshikawa M, Kaneko T, Tanaka T, Iuchi I, Yasumasu S. (2011) Hatching enzyme of Japanese eel Anguilla japonica and the possible evolution of the egg envelope digestion mechanism. FEBS J. 278(19):3711-3723.
Shigeki Yasumasu, Kaori Sano and Mari Kawaguchi (2011) Molecular evolution of teleostean hatching enzymes and their egg envelope digestion mechanism: an aspect of co-evolution of protease and substrate. In Medaka: A Model for Organogenesis, Human Disease and Evolution. Edited by Hiroyuki Takeda, Kiyoshi Naruse and Minoru Tanaka. Springer, chapter 24, pp361-374.
Kawaguchi M, Yasumasu S, Shimizu A, Sano K, Iuchi I, Nishida M. (2010) Conservation of the egg envelope digestion mechanism of hatching enzyme in euteleostean fishes. FEBS J. 277: 4973-4987.
Yasumasu S, Kawaguchi M, Ouchi S, Sano K, Murata K, Sugiyama H, Akema T, Iuchi I. (2010) Mechanism of egg envelope digestion by hatching enzymes, HCE and LCE in medaka, Oryzias latipes. J Biochem. 148:439-448.

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